地下鉄のザジ

今週日曜日に「ルイ・マルDVDボックス(1)」が届いて、昨晩は収録3作品のうち、「地下鉄のザジ」を観る。原作は何回か読んでいるのだけれど、映画は初めて観た。この映画、数年前にすでにDVDになっているのに、近くのレンタル屋には置いてないし(ビデオもなかった)、買おうにも廃盤で入手不可。amazonマーケットプレイスではつねに6,000円から7,000円の値段がついているし(いまは4,980円ってのもある)、なかには10,800円なんていう強気な値段をつけている阿呆もいる。レンタル落ちのVHSならば楽天フリマで2,000円程度で入手できるようだけど、状態が悪そうだし、折角ならずっと楽しめるDVDで、と思って買わなかった。ずっと観たいと思っていたので(実は昨秋BS2で放送したのだけど、手帳に書いておいたくせに見事に見逃した)、つまんなかったらどうしよう、という不安もなくはなかったのだけれど、それは杞憂に終わった。とにかく面白い。原作の世界をまったく損なっていない(id:tranquility:20050102)、というのはid:Uraさんのおっしゃる通りで、ストーリーは十分知り尽くしているけれど、映像で観て改めてこの本(と映画)はいいなあと思った。また原作読もうと思う。パリの当時の風景を眺めるのも楽しかったし、使われているトリックも面白い。それから、僕は高所恐怖症なので、エッフェル塔のシーンでは何度背筋が冷たくなったことか。1万円出して買ってよかった、いい買い物したな、と素直に思う。それからこれは映画そのものの問題ではないけれども、原作を読んでいる人間としては、ザジの「けつ喰らえ」(生田訳)を生(?)で観るのを楽しみにしていたのに、今回のDVDでは該当箇所には「うんざり」という訳が当てられていた。これ、白けた。興醒め。Mon cul!は「けつ喰らえ!」だろうよ。時代時代で訳が変わるのは仕方のないことだし、むしろそれが望ましいこともあるだろうけど、今回は「うんざり」だ。確かに「けつ喰らえ!」だと意味が量りづらいだろうと考えた気持ちもわからなくはない。気になったのでググってみると、どうやら過去に販売されたLDやビデオはちゃんと「けつ喰らえ!」だったらしい。もし可能ならば、みすず書房が『夜と霧』の新訳発売後も旧訳を販売しているみたいに、DVDにも旧訳と新訳の両方を入れてくれてれば、とは思った。んー、字幕なしで観ることができれば一番いいのにねえ。毎年毎年仏語の勉強を始めようとは思うものの、必要に迫られないのでなかなか実行に移せません。まだボックスには2作品残ってる。一気に観てしまうのはもったいないので、週に一本ずつ観ていこうかしらん。そういえばこの映画を観ている最中に、高校のときの英語の先生が、「外国に行ってレストランでモーニング・サービスをくださいといったら、聖書が出てきます」と言っていたことを思いだした。なんでこんなことを思い出したのかはわからないけれども。

地下鉄のザジ [DVD]

地下鉄のザジ [DVD]

ルイ・マル DVD-BOX I

ルイ・マル DVD-BOX I