この3ヶ月間に読んだ本を振り返る
2004年度は今日で終わり。明日からは新年度のスタート。だけれども、新年度のスタートが金曜日、ってのはどう考えてもおかしいと思う。新年度に入ったら本格的にTOEICの勉強を始めよう、とか、4月1日から腰を据えて新しい企画を考え出そう、とか考えているひとは少なくないと思うのだが、金曜日が終わって土・日が休みだと拍子抜けしてしまうので、結局ちゃんと始めるのは4日の月曜日から、ってことになってしまう。そうなると2005年度最初の三日間が空白のままに終わってしまうわけだ。僕もそんな怠け人であることに変わりはないのだけれど。それに明日はエイプリルフール。昨年の4月1日、エイプリルフールだということをすっかり忘れていた僕は、親しい友人のブログに「結婚します」という話が載っているのを見て、「なんだよ水くせえなあ、そんな大切なひとがいるのに何で紹介しないんだよ」というメールを書いた。この結婚話はウソだったのだけれど、このウソはすこぶる評判が悪かったらしく、書いた張本人はあとで後悔していたっけ。閑話休題。今年ももう四分の一が終わったのかと思うと本当にぞっとするけれども、時間は容赦なく流れているわけで、いまこうやって駄文を紡いでいる(この日本語変だ)あいだにも一日の何分の一かの時間が過ぎていく。時間はどんなひとにも平等! あなたのキャリアを高めるにはまず無駄な時間を減らしましょう(キャリアを高めるも低めるもないだろう、というつっこみはさておき)! 現代のビジネスパーソンには必須の時間管理術! 朝型人間は成功する! という自己啓発臭がプンプンする阿呆の言うことは放っておいて、この3ヶ月に読んだ本を振り返る(ここまでマクラ長すぎ)。この3ヶ月のベストは満場一致(って有効投票総数一票だけれど)で堀江敏幸の『河岸某日抄』。内容は言うまでもなく、装幀と書体も含めて魅力的な本だ。一週間近くかけて、ちびりちびりと、まるで熟成したウィスキーを飲むように(って右党なので飲んだことないんですけど、この陳腐な表現といったら!)読んで、実はまた昨晩適当に頁を開いて読んでみた。この本に関する、評論家と呼ばれる人びとの書評をいくつか読んでみたけれど、いずれもピンとこない。このレビューって違う本のじゃないんですか奥さん、というのもあるくらい。別にそれを生業にしているわけではないのだから、イイからイイのだでいいのだろうけれども、自分にその魅力を伝える表現力がないのはなんとももどかしい。それにしても、amazonのマーケットプレイスで著者サイン入り『河岸忘日抄』を4,500円で売っている阿呆がいるけれども、なんでこんなさもしいことができるのか理解できない(まあ理解する必要もないし、人のことをとやかく言えるほど立派な人生を歩んでいないことは棚に上げて)。こうやって改めてリストにするとま新たな発見があるのが愉しい。今年の読書テーマは武田百合子。あと読んでないのは『富士日記』(中公文庫)の中・下巻。あと読んだ本のなかで目につくには角田光代。直木賞おめでとうございます(今さら何を)。この3ヶ月、割と新しめの本ばかり読んできたので、これからはやや古めの作品を読みたいところ。先週あたりから夏目漱石を読み返そうかと思っている。ちなみに現在は、庄野潤三『せきれい』(文春文庫・ハードカバーの再読)と江國香織ほか『いじめの時間』(朝日新聞社)を併読中。今日の写真は羽田空港。右側に見えるのは羽田エクセルホテル東急(北ピアのシグネットから撮影)。もうちょっと安ければ最終便をあきらめられるのに。そうそう、来月(といってももう数日後だけれども)出る『考える人』の次号の特集は「クラシック音楽と本さえあれば」だそうで、堀江敏幸さんも寄稿されてるとか。買わないと。
- [001] 堀江敏幸(2003)『雪沼とその周辺』新潮社(ISBN:410447102X)。(再読)
- [002] クノー、レーモン(1974)『地下鉄のザジ』(生田耕作訳)中公文庫(ISBN:4122001366)。(再読)
- [003] 武田百合子・野中ユリ(1991)『ことばの食卓』ちくま文庫(ISBN:4480025464)。
- [004] 田中小実昌(2004)『自動巻時計の一日』河出文庫(ISBN:4309407188)。
- [005] 江國香織(2005)『赤い長靴』文藝春秋(ISBN:4163236104)。
- [006] ゴールデン、アーサー(2004)『さゆり・下』(小川高義訳)文春文庫(ISBN:4167661853)。
- [007] 絲山秋子(2004)『海の仙人』新潮社(ISBN:4104669016)。
- [008] 白岩玄(2004)『野ブタ。をプロデュース』河出書房新社(ISBN:4309016839)。
- [009] 山崎ナオコーラ(2004)『人のセックスを笑うな』河出書房新社(ISBN:4309016847)。
- [010] 堀江敏幸(2004)『一階でも二階でもない夜:回送電車2』中央公論新社(ISBN:4120035360)。
- [011] 絲山秋子(2004)『イッツ・オンリー・トーク』文藝春秋(ISBN:4163226303)。
- [012] マコーマック、エリック(1994)『パラダイス・モーテル』(増田まもる訳)東京創元社(ISBN:4488016014)。
- [013] 三島由紀夫(1959)『鏡子の家』新潮文庫(ISBN:4101050066)。
- [014] 小川洋子(2004)『ブラフマンの埋葬』講談社(ISBN:4062123428)。
- [015] 武田百合子(1997)『日日雑記』中公文庫(ISBN:4122027969)。
- [016] 吉田修一(2004)『長崎乱楽坂』新潮社(ISBN:4104628026)。
- [017] 堀江敏幸(2001)『いつか王子駅で』新潮社(ISBN:4104471011)。
- [018] 保坂和志(2003)『カンバセイション・ピース』新潮社(ISBN:4103982047)。(再読)
- [019] レベッカ・ブラウン(2002)『家庭の医学』(柴田元幸訳)朝日新聞社(ISBN:4022577983)。
- [020] 福永武彦(1971)『廃市・飛ぶ男』新潮文庫(ISBN:4101115036)。
- [021] 堀江敏幸(2001)『回送電車』中央公論新社(ISBN:4120031454)。(再読)
- [022] 武田百合子・武田花[写真](1993)『遊覧日記』ちくま文庫(ISBN:4480026843)。
- [023] レベッカ・ブラウン(2004)『若かった日々』(柴田元幸訳)マガジンハウス(ISBN:4838714661)。
- [024] 角田光代(1999)『東京ゲスト・ハウス』河出書房新社(ISBN:4309013139)。
- [025] 西田俊也(2004)『やんぐとれいん』文藝春秋(ISBN:4163225307)。
- [026] 小川洋子(2001)『まぶた』新潮社(ISBN:4104013021)。
- [027] 奥田英朗(2002)『イン・ザ・プール』文藝春秋(ISBN:416320900X)。
- [028] 奥田英朗(2004)『空中ブランコ』文藝春秋(ISBN:4163228705)。
- [029] 武田花(2004)『仏壇におはぎ』角川春樹事務所(ISBN:4758410321)。
- [030] 堀江敏幸(2001)『熊の敷石』講談社(ISBN:4062106353)。
- [031] 北尾トロ(2005)『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』ちくま文庫(ISBN:4480420673)。
- [032] 角田光代(2004)『太陽と毒ぐも』マガジンハウス(ISBN:4838714998)。
- [033] 川上弘美選・日本ペンクラブ編(2005)『感じて。息づかいを。(恋愛小説アンソロジー)』光文社文庫(ISBN:4334738117)。
- [034] 木田元(2005)『新人生論ノート』集英社新書(ISBN:4087202801)。
- [035] 武田百合子(1979)『犬が星見た:ロシア旅行』中央公論社(ISBN:4122008948)。
- [036] 角田光代(2002)『エコノミカル・パレス』講談社(ISBN:4062114194)。
- [037] Lahiri, Jhumpa (2003) "The Namesake" HarperCollins(ISBN:0006551807)→『その名にちなんで』
- [038] 川上弘美(2003)『光ってみえるもの、あれは』中央公論新社(ISBN:4120034429)。
- [039] 村上陽一郎(2004)『やりなおし教養講座』NTT出版(ISBN:4757140851)。
- [040] 佐藤正午(2001)『ありのすさび』岩波書店(ISBN:4000024892)。
- [041] 村上春樹(1989)『村上朝日堂 はいほー』新潮文庫(ISBN:4101001405)。(再読)
- [042] 日垣隆(2005)『売文生活』ちくま新書(ISBN:4480062238)。
- [043] 村上春樹・佐々木マキ(2005)『ふしぎな図書館』講談社(ISBN:4062127393)。
- [044] 阿部和重(2005)『グランド・フィナーレ』講談社(ISBN:4062127938)。
- [045] 堀江敏幸(2005)『河岸忘日抄』新潮社(ISBN:4104471038)。
- [046] 中島たい子(2005)『漢方小説』集英社(ISBN:4087747433)。