先物取引

 実家から宅配便が届く。新米やらなにやら。明日の鍋でさっそく雑炊にして食べようか、それとも、せっかくの新米なのだから、安い松茸でも買ってきて、松茸ごはんにして出そうか、などと考える。届いた段ボールには、郵便物も数通入っていた。実家宛に届いた僕宛の郵便物。そのなかに、角2サイズの封書が一通。僕宛だけれど、名前が一文字間違っている。「×××フューチャーズ」という社名が入った封筒。きっと先物取引の勧誘に違いない。そのままゴミ箱へ入れようとして、裏面に知人の名前(しかも、代表取締役の肩書きつき!)があることに気づく。高校時代の同級生の名前。友だちの友だち、という関係で、高校時代にはよく遊びに行った。とはいえ、友だちの友だち、という関係(というか認識の問題だけれど)を超えることはなく、大学進学後は疎遠になっていた。数年前、人づてに、大学を中退後、ベンチャー企業に入社したものの、そこが経営破綻した、ということは聞いていた。が、こういうかたちで再会(?)することになるとは夢にも思わなかった。
 封筒を開けると、彼の写真入りのチラシと情報誌が一部。彼の写真の下には、「アナリスト」の肩書きもついている。老けたな、おっさんだな、というのが第一印象。髪も薄くなっていて、正直、年齢+15くらいに見える。スーツはダブルだし。結構苦労したのかしらん、と思ったりする。内容は先物取引がいかに儲かるかを力説するもので、さらに、自分が組織するクラブの会員になってセミナーに参加してくれれば、自分のネットワークを活用して収集した各業界の裏情報を提供する。それをもとに取引すれば、一般のひとよりはるかに有利な取引ができる、というもの(ローリスクハイリターン?)。怪しい。高校当時から、なんとなく誇大妄想の傾向があるとは思っていたので、やっぱりか、という気がしないでもないけれど、彼には双子の子どもがいるそうなので、大丈夫なのかな、とやや心配にもなる。目を覚ましてもらいたいものだ。