トイレ

 こんな夢を見た。舞台は中学校。とはいえ、なぜか大学時代の友だちもそこに混じっている。合唱コンクールの打ち合わせ中。僕は全然興味がなくって、ぼーっと窓の外を見ながら、すぐ前に座っている友だちWと話をしていて、合唱コンクールの話はほとんど耳に入っていない。んで、合唱コンクール当日がやってくる。「合唱コンクール」であったはずなのに、会場に行ってみると、僕にトランペットを吹けという。僕の立ち位置にはすでにトランペットが用意されている。そんなこと聞いてない、と当時の同級生Oさんに言うと、ちゃんと言ったわよ、まああなたなら大丈夫、と言う。大丈夫なわけない、と言ったのだけれど、すぐに皆が演奏が始めてしまう。どうしようどうしよう、と思っているうちに目が覚めた。
 日曜日だけれど、午前中だけ仕事。職場に向かう途中、「臨時 センター試験」という表示が出たバスとすれ違う。何もこんな寒い時期に試験やんなくてもいいのにねえ、と思う。今年は従妹が受験している。がんばれ、という言葉がどうも嫌いで、こういう場合にかける適当な言葉を以前から考えているものの、どうも思い浮かばない。「ほどほどに」「適当に」じゃ投げ出してる感じだし、「自分を信じて」というのも頸のあたりが痒くなりそうで嫌だ。以前、バスの中で女子高校生が、「お幸せに」「あなたさまもお幸せに」という挨拶を交わしているのを聞いたことがあるけれど(id:tranquility:20050518)、これなんかいいかもしれない。あと、ちょっと思いついたところでは、「はんなりといきましょう」とか(ほんとか)。などとうだうだ考えているうちに職場に着く。
 昼少し前に仕事を終え、書店へ。外のあまりの寒さに尿意を催し、まずはトイレへ駆け込む。尾籠な話で恐縮ですが、小用を足していると、コツコツとヒールの足音が近づいてくる。ここ男便所だよねえ、と当たり前のことを考えつつ、その間にも足音は確実に近づいてくる。まさか入ってこないよねえ、と思って振り返った瞬間、白いコートにピンクのマフラーをした二十代半ばくらいの女性と思いっきり目が合ってしまった。彼女、あっごめんなさいと苦笑しながらくるりと踵を返した。苦笑したいのはこちらである。僕もおっちょこちょいだけれど、トイレを間違えたことはないぞ、と思いつつ、気をつけようと思った。これが旅先で、デジタルカメラなんぞを手に持っていたら大変なことになってしまう。警察ゆきだ。「白昼堂々 盗撮男御用」という見出しがスポーツ紙を踊ることになってしまうから。でも、男女の出会いの場としては面白い気がしないでもない。「どこかでお会いしてませんか」「ああ、あのとき。トイレで」と。ただ、一つ難点がある。もし子どもが生まれた場合、「ねえー、パパとママはどこで出会ったの」と訊かれても、答えられなくなってしまう。と、また阿呆な話を書いてしまった。最近キーラ・ナイトレイ主演で映画化(「プライドと偏見」)された『自負と偏見』(新潮文庫)を買う。大学のときにabridged version(簡約版という日本語はあるのかな?)で読んだ(読まされた)ことがあるのだけれど、実はちゃんと読んでない。
 書店を出て、スーパーに寄る。地元のミニコミ誌に、小松菜を使ったリゾットのレシピが載っていた。夜に作ることにして、小松菜を買う。支払いをしようとすると、レジの男性(高校生くらい)が、すみません、これはほうれん草ですか小松菜ですか、と恥ずかしそうに訊いてきた。思わず吹き出してしまった。

自負と偏見 (新潮文庫)

自負と偏見 (新潮文庫)