昨日のできごと

 一昔前だったら「今年の十大ニュース」に入りそうな事件や事故が、いまでは一ヶ月のあいだにいくつも起きる。春風亭昇太師匠が「権助魚」のマクラでそのようなことを言っていた。朝刊を読みながら、ふとその言葉を思い出す。
 今日は本来なら休みだけれど、隣県まで出張。自宅を出る前に、bk1中野翠さんの『今夜も落語で眠りたい』(文春新書)を注文しておく。早く読みたいので、宅配便指定料金(250円)を支払って。これで明日には確実に届く。
 8時すぎに自宅を出て、普通電車に乗って1時間ほどの道中。故・宮脇俊三センセイは「遠くへ行くだけが旅じゃない。近くても普段行かないところへ行くのは旅だぜ(「だぜ」はないだろ)」というようなことを書いておられるけれど、普通電車でたった一時間で着ける場所でも、そういう目で駅の風景や駅前商店街を見てみるとなかなか楽しい。
 午前中の分の仕事を終え、甘木さんと昼食に出かける。おいしい回転寿司があるんですよー、とのことで出かけたのだけれど、あいにく満席で、行列ができている。戻り時間が決まっているので、すぐ近くのファミレスにする。和風ハンバーグ御膳を食す。ハンバーグも悪くないけれど、寿司を逃したのは惜しい。んで、14時すぎまで仕事し、再び駅に戻る。一列車遅らせて、書店へ行く。いろいろな本屋に行けるのは、出張時の楽しみの一つでもある。新刊書コーナーで目についたのは、宮沢章夫さんの『レンダリングタワー』(アスキー)。何の本だろうと思って手に取ると、『MacPower』連載のエッセイ(「ノート:コンピュータとMacにまつわる思考の遍歴」)をまとめたものだった。これが楽しみでMacPowerを毎回立ち読み(買わなくてごめんなさい)しているので、本になったのは嬉しい。お買いあげ決定。他に手に取ったのは、松山巌『くるーりくるくる』(幻戯書房)、早川良一郎『さみしいネコ(大人の本棚)』(みすず書房)。それから新書の新刊コーナーでは、今朝注文した中野翠さんの落語本を見つけてしまった。これは痛い。今日並んでなかったら嫌だと思って注文したのに、あっけなく見つけてしまった。5秒にわたって熟慮を重ねた末、購入することに。こういう無駄遣いをしているからお金が貯まらないのだよ。まあ、それくらいこの本を待ちかねていた、ということで。会計時、店員さんに本を渡すと、宮沢章夫さんの本のほうを指して「こちらの本少々汚れておりますが交換してきましょうか」と言われた。確かによく見ると(「よく見ると」に傍点を振ってください)汚れているけれど、白い本ならどの本でもこれくらい汚れるだろうというくらいの汚れだし、別に手袋はめて読むわけじゃないのだから、礼だけ言って遠慮した。でも、こういう気配りってちょっとうれしかったりする。
 帰りの車中で早速中野本を読む。落語本であまり触れられることのない、春風亭柳橋について書かれている箇所を見つけた。僕も、柳橋の「・・・でな」という特徴的な口調が好きで、ときどき彼の「時そば」「青菜」(同じCDに収録)を無性に聴きたくなる。んで昨晩は中野さんが落語に親しむきっかけになったという、志ん朝の『文七元結』を聴きながら眠る。本と違って、ストーリーを知っているからいつでも安心して(!)眠れる。今夜も落語で眠りたい。

レンダリングタワー

レンダリングタワー

さみしいネコ (大人の本棚)

さみしいネコ (大人の本棚)

くるーりくるくる

くるーりくるくる

落語名人会 4 古今亭志ん朝 「文七元結」

落語名人会 4 古今亭志ん朝 「文七元結」