きのうのできごと。打ち合わせの旅

tranquility2004-11-25

例によって打ち合わせで某市まで。職場には寄らず直接向かう。よく打ち合わせ先のひとに車のほうが便利ですよー(彼・彼女らには電車という選択肢ははじめからないらしい)と言われるのだけど、移動中は貴重な読書時間(あるいは思考時間)でもあるので、電車が面倒だとは思わない。それに乗車時間がたとえ30分ほどであっても、東京の電車と違ってなんとなく旅行に出るような気分にもなって悪くない。宮脇俊三センセイではないけれど、なにも遠くへ行くだけが旅じゃございませんからね。というわけで今日も各駅停車で出発。40分ほどで到着。タクシーで目的地まで。今回は先方から「こちらからうかがいます」と言われていたのだけど、僕は「職場めぐり」(?)を趣味にしているところがあって、いろんな職場を訪問するのが面白くて仕方ない。村上春樹安西水丸の『日出る国の工場』を読むとこの気持ちが多少は理解していただけるのではないかな、と思う。ちなみにいままでで一番おもしろかったのは某国立大学内科の医局。閑話休題。打ち合わせが終わったのが11時半過ぎ。駅まで送っていただく。ちょうど普通電車が出たところで次の列車まで1時間待ち。本屋でもないかと駅員さんに尋ねると歩いて10分くらいのところにあるとのお返事が。道なりに行けばいいとのことなので行ってみる。あいにく典型的な個人書店(漫画と雑誌がメインで、文庫本とベストセラー本が少し並ぶ程度の店ってこと)だった。つまんないのであたりを散歩。大きな公園があったのでベンチに座ってPowerBookをひらいて職場に戻ってから書こうと思っていたメールを片づける。途中でおばあちゃんと孫が散歩しにきて、訝しげな顔でこちらを見る。そりゃ確かに怪しいですよね。テロリストに見えなくもないかもしれないし。そんなこんなで余裕を見て駅まで行ったら、もう電車がホームにいるではないか! びっくりして腕時計を見たら、まだ発車まで10分くらいあるとわかってほっとする。この駅で対向列車と行き違い(という言葉でいいのかしらん)だった。帰りも40分の旅。そういえば沿線の風景をずっとカメラで録画しているひとがいた。仕事には見えなかったから趣味なのかな。駅に着いて、駅ビル内の書店をのぞく。仕事関係の本を2冊と小島信夫『うるわしき日々』(講談社文芸文庫)を買う。クレジットカードで支払ったのだけど、伝票を差し出しながら店員さんはこう言った。「ここに簡単に名前を書いてください」。名前じゃなくてサインだろというつっこみはおいておいて、「簡単に」って言われたのは初めてだ。なんとなくおかしい。ついでに古書店にも寄る。小川洋子さんの『妖精が舞い下りる夜』(角川文庫、品切中)と増田みず子『シングル・セル』(講談社文芸文庫)を購入。後者は泉鏡花文学賞受賞作。日本には珍しい大学院生が登場する小説。主人公(大学院学生)は学位論文を書くために山の宿に籠もる(のちにある女性と出逢う)、という設定。そりゃないぜ、旦那。院生にそんな贅沢ができるもんですか! ととりあえずつっこんでおく(まだ読んでない)。〆切ぎりぎりまで図書館で文献にあたらないといけないし、同輩(ピア、とルビを振ってください)や助手の先生やボス(=指導教授)と内容をチェックしたりでそんな優雅に籠もって書いたりできないのですから。籠もって論文を仕上げるなんてありえないのでは。まあそういう分野もあるのかもしれませんが。ちなみに僕はかっこつけだったので、修論で一番頭を悩ませたのは各章の冒頭に付すエピグラフをどうするかということでした(半分は嘘)。そうそう、古書店の目玉商品の棚に、三島由紀夫の『鏡子の家』第一部の初版本があった。ヤケとシミがひどかったけど、3,000円也。欲しいひとは欲しいんだろうな。んで職場に戻ってきたのが15時過ぎ。今日は一日職場におります。